数学

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数学(すうがく、ギリシア語 μαθηματικά, 英語 mathematics)は、構造変化空間といったものを対象として、いくつかの仮定から始めて、決められた演繹的推論をすすめることで得られる事実(定理)のみからなる体系を研究する学問である。

学校教育における教科としての「数学」は、数学 (教科)を参照のこと。

概要[編集]

数学の語源について、日本語「かず」は、説得力のある語源説は示されていない。提唱されたいくつかの説についてはを参照。漢字「數」(数の正字)は、一説には、算木を扱って数をかぞえることであり、また一説には、を立てて数をかぞえることである。英語 mathematics は、ギリシア語に起源を持つ(μάθημα [máthema]: マテーマタ、学、知識、学ぶこと; μαθηματικός [mathematikos]: 好んで学ぶ、学ぶ性質の)。

数学とは、狭義には伝統的な数論幾何学などの分野における研究とその成果の総称として、またそれらの成果を肯定的に内包する公理と推論からなる論理と理論の体系を指して言うものである。また広義には、超数学(メタ数学)などと呼ばれる枠組みにしたがって公理推論規則が定められた体系一般を指す。現代的な数学においては、公理的に定義される抽象的な構造を、形式論理を共通の枠組みとして用いて探究する。方法論の如何によらず最終的には、数学としての成果というものは他の自然科学のように実験観察によるものであってはならない。

数学、特に伝統的な純粋数学では数学研究が自己目的化されており、数学への内的な興味のために研究がなされる。 このような数学ではいかに本質的な概念なり定理なりを得ていかに体系的な数学を構築するかが重要視されており、数学的対象を記述するのに適した概念空間を定義したり、数学的事象をうまく表現した定理を得たりする事が数学者の主な仕事である。一方で、美的な理由からそれぞれの分野での研究をしている数学者もいる。彼らは対称性や直観性などその独特の審美眼を以って、数学を芸術に近しいものとみなしているのである。

伝統的な数学分野で研究される対象は物理現象と深い関わりを持つものが多い。一方、応用分野では数理モデルという形で例えば計算機言語などといったものを対象とした研究が行われる。もちろん、数理モデルにおける演繹から得られる成果と実際との間にいくぶんかのずれを生じることもあるが、そのずれの評価とモデルの実用性・実効性については多くは数学の外の話である。また、数学とパズルの類似性が指摘される事があるが、数学が本質性や体系性を重要視することに照らせば、パズルはむしろ奇をてらい非体系的である。こうした研究姿勢がしばしば様々な数学の諸分野を統一するような概念へと導いたり、他分野の学問の発展に貢献したりする事につながる。

研究[編集]

歴史的には、数学の主要な分野は次の三つの必要性から生じたものである。商取引の際の計算測量、それに天文現象を予測すること。これら三つの必要性は、数学の大きな三つの区分、構造、空間、変化のそれぞれの研究に大体対応しているといえよう。このような事情から、現代における純粋数学の研究は主に代数学幾何学解析学の三分野に大別される。また、これらの数学を記述するのに必要な道具を与える論理を研究する学問を数学基礎論という。

構造
構造の研究は、算術におけるから始まる。まずは身近な自然数整数であり、そして算術の演算を決めるルールは、初等代数において拡張される。その一方で、数全体についての深い性質は数論において研究される。方程式を解く手法を研究することは、抽象代数学の分野におよんで、そこではのような、身近な数の持つ性質を一般化した構造を研究する。物理学で重要な概念であるベクトルは、ベクトル空間に一般化されて、構造と空間の二つの分野に属する線形代数学で研究される。
空間
空間の研究は幾何学とともにはじまる。はじめは、それは身近な三次元におけるユークリッド幾何学三角法であるが、後にはやはり、一般相対性理論で中心的な役割を演ずる非ユークリッド幾何学に一般化される。長い間未解決だった定規とコンパスによる作図の問題は、最終的にガロア理論によって決着が付いた。現代的な分野である微分幾何学代数幾何学は幾何学を異なる方向に発展させた:微分幾何学では、座標系やなめらかさ、それに向きの概念が強調されるが、一方で代数幾何学では、代数方程式の解となるような集合を幾何学的な対象とする。集合は数学の基礎を成す重要な概念であるが、幾何学的な側面を強調する場合、集合を空間と言い、その集合の元を点と呼ぶ。群論では対称性という概念を抽象的に研究し、空間と構造の研究の間に関連を与える。位相幾何学連続という概念に着目することで、空間と変化の双方の研究に関係する。
解析
測る量についての変化を理解し、記述することは自然科学の共通の主題であり、微積分学はまさにそのための最も有用な道具として発展してきた。変化する量を記述するのに使われる中心的な道具は関数である。多くの問題は、とても自然に量とその変化の割合との関係になり、そのような問題を解くための手法は微分方程式の分野で研究される。連続的な量を表すのに使われる数が実数であり、実数の性質や実数に値をとる関数の性質の詳しい研究は実解析として知られる。いくつかの理由から、複素数に拡張する方が便利であり、それは複素解析において研究される。関数解析学関数空間(関数の集合に位相構造を持たせたもの)が興味の中心であり、この分野は量子力学やその他多くの学問の基盤となっている。自然の多くの現象は力学系によって記述され、カオス理論では、多くの系が、決定可能であるにもかかわらず予測不可能な現れ方をする、という事実を扱う。
基礎付け
数学の基礎を明確にすること、あるいは数学そのものを研究することのために、集合論数理論理学そしてモデル理論は発展してきた。フランスの数学者グループであるニコラ・ブルバキは、集合論による数学の基礎付けを行い、その巨大な体系を『数学原論』として著した。彼らのスタイルはブルバキ主義とよばれ、現代数学の発展に大きな影響をあたえた。個々の対象の持つ性質を中心とする研究方法である集合論とは別の体系として、対象同士の関係性が作るシステムに主眼を置くことにより対象を研究する方法として圏と関手の理論がある。これはシステムという具体性からコンピュータ・ネットワークなどに応用される一方で、極めて高い抽象性を持つ議論を経て極めて具体的な結果を得るようなアブストラクト・ナンセンスなどと呼ばれる形式性も持ち合わせている。
計算機
人類がコンピュータを最初に思いついたとき、(それは実際に作られるより遥かに前のことだが)、いくつかの重要な理論的概念は数学者によってかたち作られ、計算可能性理論計算複雑性理論情報理論、そしてアルゴリズム情報理論の分野に発展した。これらの問題の内の多くは理論計算機科学において研究されている。離散数学は計算機科学において有用な数学の分野の総称である。また最近では、計算機科学を駆使して自然科学上の問題を解決する計算科学が急速に発展している。
統計
応用数学において重要な分野に統計学が挙げられる。統計学はランダムな現象の記述や解析や予測を可能にし、すべての科学において利用されている。数値解析は、丸め誤差を考慮に入れて、幅広い数学の問題について効率的にコンピュータの上で数値解を求める方法を研究する。統計学は隣接する分野である確率論とは違って実際の統計データを扱う事もある事から、「確率論までは数学だが統計学は違う」という考えを持っている人もいる。

分野[編集]

以下の分野や項目の一覧は、数学に対する一つの有機的な見方を反映している。

便宜上の分類

--自然数--整数--偶数--奇数--小数--分数--素数--有理数--無理数--実数--複素数--四元数--八元数--十六元数--超実数--順序数--基数--p進数--巨大数--整数列--数学定数--数の名称--無限
変化
算術--微積分学--ベクトル解析--解析学--微分方程式--力学系--カオス理論--関数一覧
構造
抽象代数学--数論--代数幾何学--群論--モノイド--解析学--位相幾何学--線形代数学--グラフ理論--圏論
空間
解析幾何学--位相幾何学--幾何学--三角法--代数幾何学--微分幾何学--線形代数学--フラクタル幾何--図形--図形の一覧
有限数学
組合せ論--素朴集合論--確率論--統計学--計算理論--離散数学--暗号法--暗号理論--グラフ理論--ゲーム理論
応用数学
計算科学--数値解析--最適化数学--確率論--統計学--逆問題--数理工学
有名な定理と予想
フェルマーの最終定理--リーマン予想--連続体仮説--P≠NP予想--ゴールドバッハの予想--双子素数の予想--ゲーデルの不完全性定理--ポアンカレ予想--カントールの対角線論法--ピタゴラスの定理--中心極限定理--微積分学の基本定理--代数学の基本定理--四色定理--ツォルンの補題--オイラーの等式--コラッツの予想--合同数の問題--バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想--ヒルベルトの23の問題
基礎と方法
数理哲学--数学的直観主義--数学的構成主義--数学基礎論--集合論--数理論理学--モデル理論--圏と関手の理論--数学的証明--数学記号の表--逆数学
数学の歴史と世界
数学の歴史--ユークリッド原論--数学年表--数学者--フィールズ賞--アーベル賞--国際数学連合--数学の競技
非西洋数学
和算--インドの数学--中国の数学中国の剰余定理--アラビア数学

数学に関する賞[編集]

関連項目[編集]

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その他[編集]

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